今年こそ穏やかな心で遠ざかる夏の背を見送りたい。

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八月を過ぎて久しい今でも夏から執拗に攻撃を受けている。
 
誤解のないよう最初に言っておくが、私が夏を嫌いな訳ではない、夏が私を嫌いなのだ。
夏が一方的に私を敵視しているだけで、私は夏に対してなんの怨恨もない。
にも関わらず、年々仲がこじれていくのは悲しい限りである。
夏が対応を軟化させてくれさえすれば、友好的な関係が築けるのだと私は信じているのだ。
こうやって何もかもを他人のせいにする生き方は楽そうに見えるだろうが、意外とそうでもない。
 

 

まず、何をおいても夏に改めて欲しい点は暑さである。
この思いだけは、ありとあらゆるコミュニティで浮きに浮きまくっている私の心も、多くの人々と一つになっていることだろう。
暑さ問題は、もちろん冗談では済まない命に関わるような事柄もあるのだが、それを差し引いて何が嫌かというと、肉体に対する攻撃が精神攻撃も兼ねている点である。そういうところが受け付けないのだ。
朝から晩までスリップダメージでじわじわ体力を減らさせながら、同時に行動力もごっそり削り取っていく。
汗で身体を汚染したり、食欲を減退させたり睡眠を妨害したり、何かと気を滅入らせて心を折りにかかってくるのだ。
 
さらに問題なのは、この暑さという攻撃に対して根本的な対抗手段が乏しいところだ。
現代人の防具である衣服は、装備すればするほど夏耐性が下がっていくシステムになっていて、その装備を外して快適な格好をするにも、物理的限界以前に社会的限界が立ちはだかっている。
しかも室内限定で使用可能な最強にして必須アイテムである『冷房』は課金制だ。クソゲーである。
ついでに言うといくら課金しても夏の懐が潤うわけではない。純然たる嫌がらせなのか。
 
それ以外にも、紫外線で肌や髪を傷めつけたり、雑草を生い茂らせたり、蚊やダニといった刺されると痒みを伴う虫を大量に召喚してくるなど、
『海!』『太陽!』といった、カラッと爽やかな印象を与えがちな夏は、意外にも攻撃方法がねっとりしているというか、全体的に陰湿なのである。
 
しかし、ここまで書き綴ってみて、私も夏に対して一方的に詰り過ぎたかと少し反省している。夏には夏の事情があるのだろうし。
重ねていうが、私は決して夏が嫌いなわけではなく、できれば友好的な関係を築きたいと思っているのだ。
夏の暑さがあってこそ、アイスクリームや冷やし中華は真の美味しさを発揮するし、
太陽を始めとした、青空、海、貝殻、ひまわりなど夏を象徴するものたちは純粋に美しい。
絵になり、写真に映え、創作意欲を掻き立てる。
 
だから、今年こそ夏とは笑顔で別れたい。
感謝と少しの名残惜しさを胸に、遠ざかる夏の背中を送り出したいのだ。
 
そして帰還した来年の夏には友好の証として、平均気温を30℃以下にするところから歩み寄っていただきたい。
 

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