ひんやりハロウィン

ひんやりハロウィン

今年もみんな大好きハロウィンがやってきた訳だが、実のところ密かに毎年気になっていることがある。ズバリ『トリックオアトリート』のトリックについてだ。
ハロウィンの代名詞とも言えるこの言葉。みな気軽に口にするが、私はなかなか恐ろしい呪文に思えて仕方がない。
 
前提として大抵の場合、トリックオアトリートはする側される側両の間で了解が取れており、ただ単にお菓子を受け渡す際の合言葉のようになっているので、実際にトリックが発生する事はそうないのだろうが、もし、万が一「あーお菓子持ってないわ」などと言われた場合が問題なのである。何もしなければしないで場が白けてしまうので、何かしら気の利いたトリックをすることが望ましいのだが、そもそも相手が許容できるトリック上限値がわからないため、結局は己の空気読みスキルを頼ることになる。
私が恐れているのはこれだ。相手がお菓子を持っていなかったその瞬間から、楽しいハロウィンは突如として背筋も凍りつく恐怖と絶望の空気読み合戦へと変貌を遂げる。正直幽霊並みに怖い。それを考えると個人的にあの行為なかなか勇気がいると思う。私など「お菓子持っててくれ頼む…ッ!」と願いながらトリックオアトリートすることになるだろう。ものすごく声低くなってそう。
 
元々私はエイプリルフールなどに何か面白いことしようかと思っても『これやりすぎか?』『どこかに迷惑かけて叩かれそう』などと考え、結局日和って何もしなくなるたちなので、こういった『ふつうはやらない少し危ういことや変わったこと』をして人を楽しませることに向いていないのだと思う。所詮は一般架空生物なのだ。
だが一つ自己弁護をしておくと、『空気が読めない自覚がある』ということは、最低限『自分の言動の後空気がおかしな感じになった』という空気を読めなければ自覚できないことなので『空気読めない自覚』ができていて、かつある程度の自重ができているだけでも大分上等なので褒めてほしいところなのだが、ハロウィン当日にこのような文章を書いている時点でもはや空気は読めていないのでやっぱり褒めなくてもいい。