料理『は』好き

キッチン

最近何かと菓子づくりの機会が増えている。先週14日のバレンタインデーには、日頃の感謝と深い愛情を込めて菓子を焼き、その焼き立て菓子を間髪入れずに自ら食すというRTAのような行いを嗜んでいた。ちなみにその時焼いた菓子はキャラメルチョコレートバナナパイで、味は決して悪くなかったのだが、肝心のチョコレートに対してキャラメルバナナの比率が大きすぎたせいで、本来主役になるはずのチョコレートが完全におまけ状態になってしまっていた。完成から完食までのスピードも相まって、もはやバレンタインなど関係なくただただ食べたいものを作って食べただけといった様相を呈していた。冷え込みの激しい季節はなぜだか甘いものが体感二割増しで美味しく感じてしまうのだから仕方がない。
 
そんな作って楽しい食べて美味しい一石二鳥のクッキングだが、最後に残された、料理や製菓において避けて通れない地獄の工程がある。
後片付けだ。
バターやクリームでベトベトになったボウル、手際が悪く無駄にたくさん使ってしまったスプーン、焦げ付いたオーブン、そこら中へ飛び散った薄力粉やこぼした卵にミルク。シンクに山と積まれた洗い物は、視界に入るだけで先の幸福感を体感二割ほど削り取っていく。
料理に限らず後片付けに手間がかかる類の作業は、一番テンションの下がる工程が一番最後にやってくるためその行為全体に『面倒』という印象を残しがちで損をしていると思う。何より美味しい部分はすでに終わってしまっているためモチベーションが保ちづらい。調理器具と材料を別レイヤーにして後から材料レイヤーだけ削除とかできないのか。
「その点、絵を描く環境はアナログからデジタルへ移行したことでデスク周りが汚れにくくなり、劇的に片付けやすくなったものだ。」そう言って私はアイコンの散らばったデスクトップとタブだらけのウインドウから目を逸らすのであった。キッチン多少トリムしたやつ