バターの香りで堕天する

逆光

今回のイラストは元々年明け最初の更新用に描き始めたものの、どういうわけかなんとなく邪悪な雰囲気になり、新年早々闇落ちしているのはどうかと思い一旦没にしたものである。しかし、ある程度描き進めてしまっていたため、そのまま放置するのはもったいないと、当初の方向性とは別の路線で完成させてみたのだが、初期段階より格段に闇が深まった。なぜ。これは人類の危機に意気揚々と駆けつけるも一切手は貸さず高みの見物を決め込み終始ニヤついてるタイプの人外。人の一生を娯楽として消費しそう。なんてひどい。

『白服』に『後光』という善の象徴じみた要素を盛り込んだにもかかわらず、表情などの要素と組み合わさることで、狙いとは裏腹に敵性生物感を強める結果となってしまったように思う。こんな風に、それ単体では『良い、好ましい』とされる類の物であっても、時と場合によっては手放しで『良い』と言い難い、それどころか『好ましくない』と類されるものへと転じてしまう例は少なくない。
例えば深夜に焼き上がった出来立ての菓子などがそうだ。
湯気と共に立ち昇るバターの香り、こんがりと狐色に焼けた照りのある表面。普段なら大歓迎のおいしさアピールだが、翌朝まで我慢しなければならない状況においては、まるで視覚と嗅覚の両サイドから力任せに殴りつけられているような心地だ。
思い返せばこの絵の作画中も深夜間食の誘惑と死闘を繰り広げていたので、イラストの人でなし感が深まったのはその影響を受けての事だったのかもしれない。ちなみに勝敗の行方は、味見が間食に含まれるかどうかの判断によるため解釈が分かれるところだ。

全体バージョン

トリミングで椅子とか切れてしまったので全体バージョンも載せてみたが、結局ぼかしかけてるのであまり見えない。